LGBT理解増進法成立に対する抗議声明/プレカリアートユニオン

プレカリアートユニオン執行委員会と、プレカリアートユニオンLGBT・ジェンダー平等チームは、LGBT理解増進法成立に対する抗議声明を発表しました。

https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2023/06/23/210234

■LGBT理解増進法成立に対する抗議声明

誰でもひとりでも入れる労働組合プレカリアートユニオンは、LGBTQ+をはじめとした性的マイノリティーが職場や社会で直面する問題を、人権の問題と捉え、2015年から全国の労働組合に先駆けて、LGBTQ+の仲間の労働問題に取り組んできました。

これまで組合員の労働問題について企業と対峙する中で、差別禁止に関する法律が存在すれば、もっとスムーズに問題が解決した事例はたくさんあったであろうと認識しています。しかしそうした状況下でも、組合員一人ひとりが団結し、企業との話し合いや、時には裁判などにも取り組むことで、SOGIハラの問題をはじめとした、様々な労働問題を解決してきました。

そんななか、2023年2月3日の荒井首相補佐官(当時)によるLGBTQ+への差別発言を契機に盛り上がったLGBT法の成立機運には、そのきっかけは決して好ましいものではなかったにせよ、組合としても少なからぬ期待を寄せていました。

ところが、法案成立に向けた国会での議論は遅々として進まず、この間、いわゆるバックラッシュといえる、LGBTQ+、特にトランスジェンダー女性へのデマを含んだ差別言説は、SNSだけでなく政治家の間でさえも、「議論」の名の下に平然と語られるようになり、苛烈さを極めました。LGBT理解増進法が成立した今も、その苛烈さはやんでおらず、勢いを増すばかりです。

法案は、私たちが望んだLGBT差別禁止法をベースとしたものでもなく、2021年に与野党の議員が超党派で合意したLGBT理解増進法の条文からもさらに後退し、日本維新の会と国民民主党が提案した、「理解増進」とは名ばかりの、骨抜きを通り越し、差別的とも言える独自案を丸呑みした形で、成立してしまいました。

そもそも人権は、他人に理解など求める必要もなく、生まれながらに誰しもが持っている普遍的な権利です。「全ての国民が安心して生活することができる」などという前提を必要とするものでもありませんし、「国民」などという狭量なカテゴリーで語られるべきものでもありません。このような条文が取り入れられてしまったLGBT理解増進法は、もはや悪法以外の何物でもありません。このようなLGBT理解増進法の成立に抗議します。

しかしながら、プレカリアートユニオンは、これまでもこれからも、このような悪法を前にしても、労働者、とりわけLGBTQ+当事者をはじめとした不安定な立場にある仲間の労働条件の維持・改善や生活向上に向けて、ひるまず活動を続けていきます。

2023年6月23日

プレカリアートユニオン執行委員会

プレカリアートユニオンLGBT・ジェンダー平等チーム

韓国ワイパー争議/名古屋ふれあいユニオン

〈名古屋ふれあいユニオン委員長 鶴丸周一郎〉

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■韓国ワイパー労働者の闘いにご注目ください!■

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今月9日から20日にかけ、デンソーのグループ会社・韓国ワイパーで働いてきた労働者の第三次訪日闘争団が、デンソーやトヨタ自動車に対し問題解決を求める要請行動を行いました。

今回の訪日闘争はトヨタ自動車とデンソーそれぞれの株主総会に合わせて行われたもので、多くの株主にビラを手渡したほか、刈谷や名古屋でも多くの市民に宣伝しました。

ユルトン(律動)をはじめ、闘争団のたたかいには学ぶべきところも多かったです。

以下、事件の注目すべき点などをいくつかあげておきます。

(1)労働協約を無視した清算と解雇

昨年7月、会社は赤字を理由に清算を決定、今年に入り労働者約300人に対し解雇を通知しました。

労働組合と会社は、2021年に結んだ労働協約の中で、清算する時には労働組合との合意が必要であることや雇用を守ることを約束していました。

それにもかかわらず、会社はこの約束を全く無視して会社清算・解雇を強行しようとしています。

(2)警察の介入・衝突

今年3月15日には、会社が工場設備の搬出を強行し、その際には警察権力の介入もありました。

組合員209人が24時間体制で守っている工場に700人以上の警察官が押し寄せ、多くの労働者が負傷し、精神的にも大きなショックを受けました。

(3)組合つぶしの疑い

会社が清算・解雇を強行しようとしている理由は、「組合つぶし」であると当該組合員らは言います。

韓国ワイパーに労働組合ができたのは約5年前で、それ以降、組合は会社に対し、しっかり要求を掲げ、実際に成果を勝ち取ってきました。

この闘う組合をつぶすため、会社は清算に向けた計画を進めていたのではないかとのことです。

(4)今後の予定など

近日中に大詰めの交渉が予定されています。この交渉の内容次第で、組合員はさらに闘争を拡大していきます。

第三次闘争団はいったんここで訪日闘争を終了しますが、今後闘争を拡大する際には、全国の皆さんのご支援をよろしくお願いします。

(5)関連記事

レイバーネット

http://www.labornetjp.org/news/2023/0214waipa

http://www.labornetjp.org/news/2023/0315korea

http://www.labornetjp.org/news/2023/1679186954344staff01

http://www.labornetjp.org/news/2023/0616waipa

玉木代表は発言撤回を/プレカリアートユニオン

物流の2024年問題への対策で、国民民主党の玉木雄一郎代表が大型トラックの高速道路走行の速度規制を時速80キロから100キロにする規制緩和を主張している。

トラック運転手が多く個人加入するプレカリアートユニオン(全国ユニオン)は4月16日、玉木氏に対し「高速道路の安全を脅かしトラックドライバーの心身を危険にさらす発言を撤回して下さい」と訴える意見書を公表した。

意見書は「24年に運送業にも時間外労働の上限規制が適用されるのは、労働者が健康で安全に働けるようにするための施策であるはず。危険を冒してでもスピードを上げるのは本末転倒」と批判。

「3割運べなくなるなら働く人を3割増やそう。人員を確保できるよう長時間労働を是正し基本給を上げよう。過当競争を抑制し、『2024年問題』をともに乗り越えよう」と提案している。

以下、要請文となります。

  •   ※   ※   ※   ※

2023年4月16日
国民民主党代表
玉木雄一郎様

プレカリアートユニオン
執行委員長 清水 直子

運送・運輸支部支部長 美澤 良之
〒160-0004 東京都新宿区四谷4-28-14パレ・ウルー5F
ユニオン運動センター内 プレカリアートユニオン

TEL03-6273-0699/FAX03-4335-0971

国民民主党玉木雄一郎代表の「2024年問題」に係る大型トラック速度規制緩和発言への意見書

国民民主党代表の玉木雄一郎氏が、4月4日に自身のTwitterで、【トラックドライバーの時間外労働に960時間の規制が掛かることで物流のうち3割が運べなくなるという「2024年問題」。

その対策の一つとして大型トラックの80km/h規制を100km/hに緩和してはどうでしょうか。東京-大阪間が片道1時間半短縮でもっと物が運べます。車の安全性能も高まっています。】と発言しました。

大型トラックの80km/h規制を100km/hに緩和するのは、危険です。

なぜ大型トラックに80km/h規制が存在するかといえば、制動距離(ブレーキを踏んでから停車するまでの距離)が長く、荷物を積んでいれば、さらに制動距離が伸びるからです。

現在、運送業界は、中小零細運送業者が乱立して、過当競争が進んでいます。このトラックドライバーの就労環境は、大変厳しい状況にあります。特に長距離輸送のドライバーは、長時間過重労働を強いられています。

玉木氏は、高速道路の安全を脅かし、トラックドライバーの心身を危険にさらす発言を撤回してください。私たち現場のドライバーと面談し、トラックドライバーの就労環境について、実態を知ってください。

プレカリアートユニオンは、連合の構成団体である、全国ユニオン(全国コミュニティ・ユニオン連合会)に加盟する、誰でも1人でも加入できる労働組合です。

2012年に結成して以降、運送・運輸会社の長時間過重労働を是正し、固定残業代を悪用するなどして残業代を払わない運送会社に未払い残業代を払わせ(長時間労働と残業代不払いは表裏一体の問題です)、ドライバーの賃金から違法に天引きした商品事故の弁償金を取り戻すなどの取り組みをしてきました。

プレカリアートユニオン運送・運輸支部は、中小運送・運輸会社で働くドライバーで作る支部です。
大型トラックの80km/h規制を100km/hに緩和して、東京-大阪間の片道が1時間半短縮したところで、3割物を多く運べるわけではありません。

2024年に運送業にも時間外労働の上限規制が適用されるのは、労働者が健康に安全に働けるようにするための施策であるはずです。にも関わらず、危険を冒してでもスピードを上げるのは、本末転倒です。

3割運べなくなるなら、働く人を3割増やしましょう。人員を確保できるよう、長時間労働は是正し、基本給を上げましょう。

ドライバーを危険にさらすのではなく、待遇を改善し、運送業界の過当競争を抑制し、物流業界の体質を変えながら、「2024年問題」をともに乗り越えるよう、要請します。