大丸で働く中国語通訳の派遣労働者、コロナで雇止め/札幌地域労組

「大丸で働く中国語通訳の派遣労働者、コロナで雇止め」

新型コロナウイルスによる世界全体の経済危機

新型コロナウイルス感染症の流行は世界的に広がっています。収束に向かう国も出始めていますが、少なくとも日本では 外出自粛の傾向はしばらく続くでしょう。リーマンショック以来の不況が予想され、誰にとっても不安な時期です。

■22日前の解雇予告
北島夏実 (仮名 )さんは大丸 札幌店 の資生堂で、中国語の通訳として3カ月の派
遣契約を10回更新し、2年以上働いてきました。新型コロナウイルスの影響で1月から2月にかけて訪日外国人は激減、国内の客も減りました。

そして4月の頭に 、彼女は突然月末での雇止めを宣告されたのです。それまで2年以上に渡って会社で働いてきていても、首を切られるのは一瞬です。

一方で、正社員の雇用は守られています。これを身分差別と言わずになんと言うのでしょうか。

たった22日前に雇止めを宣告された彼女はこの経済危機の中でどうやって次の生
活の見通しを立てればいいのでしょうか?会社には、雇用の形に係わらず、従業員の生活を保障する社会的な義務があるはずです。

■人間の使い捨てを許すな
労働者である前にひとりの人間です。人間の使い捨てを許してはいけません。
大丸松坂屋グループ系列の派遣会社である株式会社ディンプルには4月24日付の
内容証明で団体交渉の申し入れを行い、雇止めの撤回と国の支援策を利用しながらの雇用継続を求めています。

「新型コロナ、働き手を直撃」連合福岡ユニオン書記長インタビュー記事が掲載されました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200331-00010021-nishinpc-bus_all

新型コロナウイルスの感染拡大で、働き手の雇用や賃金に影響が出ている。業績悪化で非正規労働者が雇い止めを告げられたほか、学校の休校などで仕事を休んだ人に賃金が支払われない例も。個人で加入できる労働組合「連合福岡ユニオン」(福岡市)の寺山早苗書記長と、ユニオンに届いた相談から問題点を考えた。

航空関連会社に勤める60代前半の男性は3月上旬、今秋以降の雇い止めを告げられた。60歳の時に同じ勤務先で定年を迎えた後、有期契約社員として再雇用され、働いてきた。

だが、感染拡大で旅客便の利用が減り、会社は減便を決定。その数日後、次回の契約更新をしないと言われた。続けて働くことを望んでおり、「労働者をばかにしている」と相談した。

2013年改正の高年齢者雇用安定法は、労働者が望めば65歳まで雇用するよう企業に義務付けている。労働契約法も、過去に繰り返し契約を更新されていたり、継続雇用への期待に合理的な理由があったりする有期契約社員について、雇い止めを認めていない。

男性はまだ65歳になっておらず、定年後は1年ごとに契約を結び直してきた。寺山書記長は「男性の場合、次も契約が更新されると期待するのは合理的。雇い止めを回避する努力が尽くされなければ、会社の対応は無効となる可能性がある」と指摘した。

男性には継続雇用を望む意思を示すことと、会社側に理由書を出すよう求めることを助言。その上で対応を検討するという。
「会社が制度を利用してくれない」学校の休校に伴い、子どもの世話で仕事を休んだ親に対して、特別な有給休暇を与えた事業主に助成する新制度の相談もある。事業主が支払う賃金に対し、国が日額8330円を上限に助成する形だが、「会社が制度を利用してくれない」という訴えだ。

運送会社勤務の50代女性は、休校中に子どもの世話で仕事を休んだところ、「その分の給料は払わない」と言われた。国の助成制度を利用するよう頼んだが、「手続きが分からない」と対応してもらえなかった。

制度の利用は、事業主が年次有給休暇(年休)と別に特別な有給休暇を設けることが条件。就業規則に定めなくても要件を満たせば対象になるが、企業が手続きの負担を嫌って利用しない恐れが指摘されていた。

ユニオンは対応として、賃金が支払われる年休を取得するよう女性に助言した。寺山書記長は「労働者が休校による子どもの世話で休んだことを証明すれば、簡易な手続きで直接、賃金が給付される仕組みが必要」と呼び掛ける。出勤停止を求められた期間の賃金、不安視する相談も出勤停止を求められた期間の賃金が支払われるのか、不安視する相談も多い。

「体調不良で病院に行ったが、感染の有無を調べるPCR検査をしてくれない。陰性と証明されるまで出勤しないよう言われた」(介護施設勤務、30代男性)、「デイサービス事業所で運転手をしているが、利用者が激減し、1週間休みになった」(派遣社員、50代男性)、「講師をしている学習塾が休みになり、給料が支払われない」(非常勤社員、20代男性)

労働基準法は、使用者側の都合で従業員を休ませる場合、その間の休業手当(平均賃金の60%以上)を支払うよう定める。さらに国は今回、感染拡大の影響で従業員を休ませた事業主に雇用調整助成金を支給し、休業手当や賃金支払いに充ててもらう特例も始めた。

休業手当は正規、非正規労働者を問わず支給されるが、ユニオンには今回に限らず、普段から未払いの訴えが寄せられている。行政の周知や指導を強める必要もありそうだ。

「園が休みになり、収入がなくなった」
「フリーランスで幼稚園の英語の講師をしているが、園が休みになり、収入がなく
なった」(30代男性)との声もあった。

フリーランスなど個人で業務を請け負って働く人は、休校による子どもの世話で仕事ができなかった場合、新制度で日額4100円が国から支給される。これ以外でも政府は、低所得世帯向けの「生活福祉資金貸付制度」の対象を、感染拡大で収入が減った人に広げ、一部の貸付額を10万円以内から20万円以内に引き上げた。

ただ、感染が収まらずイベントの自粛などが長引けば、こうした人の生計が行き詰まる恐れはある。

ユニオンには、事業主からも「給料を支払うのが難しい」「取引先から契約を打ち切られた」と業績悪化の相談が寄せられ、行政の窓口などを紹介している。感染拡大は労使双方を直撃している。

寺山書記長は「労働者で勤務先に労働組合がないなど、事業主と交渉するのが難しい場合は相談してほしい」と語る。

(2020年3/31(火) 17:10西日本新聞)から引用

 

ベトナム人技能実習生解雇事件・報道/札幌地域労組

北海道栗山町のキノコ工場で働いていた20~30代のベトナム人技能実習生17人が実習期間が満了していないのに事実上予告なく解雇されたことが30日、関係者への取材で分かった。工場の所有企業が事業を停止したため、実習生を雇用していた農業関連会社2社が3月12日に解雇を通知した。

実習生らが加入する札幌地域労組は「整理解雇を回避する努力や実習生との協議をしておらず不当で無効」としている。

関係者によると、2社は栗山町の「協和アグリファーム」と千歳市の「KOTOBUKIファーム」で、工場の所有企業は札幌市の「北海道きのこ生産総合研究所」。同研究所は11日、従業員に同日付で事業を停止し破産手続きに入ると通知。実習生らには、翌12日に雇用主2社から同日付の解雇を言い渡す「解雇予告通知書」が出された。

解雇された実習生のうち14人が加入した札幌地域労組は「当日の解雇を予告とは言わない」と批判する。また、経営悪化を理由とする整理解雇が認められる要件を満たしていないとし、受け入れ企業に課せられる期間満了までの実習実施義務にも反していると主張。さらに、提示された解雇予告手当が本来支払われるべき額より最大約5万円少ない実習生がいると指摘した。

労組は2社側に、期間が満了する12月末までの賃金補償を求めている。2社の代理人弁護士は取材に対し「答えられない」とした。

労組の三苫文靖書記長は「母国で多額の借金をして来ている実習生らを物扱いしており、会社の都合で簡単に切り捨てている。許されない」と話した。

<2020330 18:30共同通信>から引用