ワタミ過労死遺族が自民党と渡辺美樹参院議員に抗議文/東京東部労組

自民党の渡辺美樹参院議員が「働くことは悪いことか。週休7日が幸せなのか」と
いう発言を国会で行ったことについて、渡辺議員が経営していた居酒屋チェーンのワ
タミで過労死した社員の遺族が3月29日、自民党と渡辺議員への抗議文を送りまし
た。

 渡辺議員は3月13日にあった「働き方改革」をめぐる公聴会で、公述人の東京過労
死家族の会の中原のり子さんらに対し、自民党を代表して質問に立ち、その場で「国
会の議論を聞いていますと働くことが悪いかのような議論に聞こえてきます。お話を
聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」などと発言
しました。

 渡辺議員は自らが経営しているワタミで2008年に社員だった森美菜さんを過労死に
追い込んでいます。森さんのご両親が遺族として全国一般東京東部労組に加入し、
様々な闘いを通してワタミと渡辺氏の責任を追及した結果、2015年12月に裁判上の
「和解」を行いました。

 「和解」の協定書には次のように記載されています。「被告渡邉美樹は、被告会社
らの創業者で長らく代表取締役を務め、同人が形成した理念に基づき被告会社らを経
営し、従業員に過重な業務を強いたことなどから、会社法429条1項に基づく注意義務
及び条理に基づく注意義務を懈怠し、森美菜の本件死亡について、会社法同条及び不
法行為により、最も重大な損害賠償責任を負うことを認める。」

 また、謝罪の条項の中には、「被告渡邉美樹は、森美菜が死亡した後に、ツイッ
ターにおける発言などが不適切な内容を含むものであり、不相当な対応をしたことに
より、原告らに一層の精神的苦痛を負わせたことを、衷心より謝罪する。」との記載
も盛り込まれました。

 「365日24時間死ぬまで働け」などという理念を掲げてきた経営者の渡辺氏自身の
法的責任を明確にし、断罪する内容が「和解」の根幹でした。

 しかし、今回の渡辺議員の国会での発言は、これら遺族との「和解」の精神を踏み
にじるもので、その無神経な暴論は到底許されるものではありません。また、ワタミ
過労死問題を百も承知のうえで渡辺議員をあえて代表として質問に立たせた自民党の
責任も重大です。恥を知るべきです。

 遺族とともに私たち東部労組も渡辺議員と自民党に強く抗議するとともに、渡辺議
員が先頭で推奨している労働時間規制をなくす高度プロフェッショナル制度(残業代
ゼロ制度)の導入に反対します。〈全国一般東京東部労組書記長 須田〉

田井自動車の闘いが高校教科書に/札幌地域労組

約6年前に闘った札幌地域労組田井自動車支部のストライキの様子が、高校の現代社会の教科書(第一学習者)に載りました。
「スト決行中」の看板や横断幕の位置は、写真や映像をかなり意識して配置したのですが、その効果がありました。若者がストに立ち上がった様子を地元のHTBテレビのニュース番組「いちおし」が映像化した7分間の特集番組は、その後、あちこちの学習会で大活躍しました。

このストライキのあと、田井自動車の経営者はスト参加者だけボーナスをゼロにするという弾圧をかけてきました。私は勝利を確信しました。とはいえ、当事者の組合員にしてみたら大変な不安だったと思います(この弾圧で24名中、5名が脱退)。

その後出された、労働委員会での勝利命令と実効確保措置勧告は、並行していた3つの裁判闘争をさらに有利に進め、その結果、会社側はついに白旗を上げ、T代理人は解任されました。

現在、社長一族は経営から退き、田井自動車は消防車製造大手のモリタ傘下で事業を継続しています。組合結成以前は「固定残業制」でごまかされていた残業代ですが、今では残業した分だけちゃんと支給される職場になりました。
門前で立ち止まっていた日本国憲法や労働基準法を、まさに工場の中に持ち込んだ闘いでした。

この闘いに駆けつけて下さった地域の労働組合や、いっぱい記事を書いてくださった記者の皆さんに改めて感謝!〈札幌地域労組副執行委員長 鈴木一〉

大阪労働局と交渉/コミュニティ・ユニオン関西ネットワーク

■ 関西ネットが大阪労働局と交渉
2月15日、コミュニティ・ユニオン関西ネットワークが、改正労働契約法18条
に関連する諸問題について、大阪労働局と交渉しました。
 この4月から「有期雇用契約の更新を繰り返し、通算5年を超えたから、労働者か
らの申し出により、無期契約に転換」が適用されます。これを回避しようとして、違
法な、あるいは脱法的な雇い止めがなどが起こっています。これについて労働局は、
「法改正の趣旨に明らかに反する場合、指導していく」と述べました。「明らかに反
する」と、何をもって判断するのか?「グレーゾーン」的な事案について、「雇用の
安定により労働者を保護する」という法改正の趣旨に照らして、どこまで積極的に指
導するのか?…について不安も残りますが、たとえ建前半分としても「指導してい
く」と答えたことは、労働者にとっては「使える」材料だと思います。
 こうした交渉が年に一度といった形で定例化していけば、例えば「検討する」「調
査する」としたことについて、次回改めてただすこともできます。より充実したもの
となるよう、関西ネット内部で議論していきたいと考えています。
(北大阪合同労組『北合同ニュースNO.210』より転載)