北海道栗山町のキノコ工場で働いていた20~30代のベトナム人技能実習生17人が実習期間が満了していないのに事実上予告なく解雇されたことが30日、関係者への取材で分かった。工場の所有企業が事業を停止したため、実習生を雇用していた農業関連会社2社が3月12日に解雇を通知した。
実習生らが加入する札幌地域労組は「整理解雇を回避する努力や実習生との協議をしておらず不当で無効」としている。
関係者によると、2社は栗山町の「協和アグリファーム」と千歳市の「KOTOBUKIファーム」で、工場の所有企業は札幌市の「北海道きのこ生産総合研究所」。同研究所は11日、従業員に同日付で事業を停止し破産手続きに入ると通知。実習生らには、翌12日に雇用主2社から同日付の解雇を言い渡す「解雇予告通知書」が出された。
解雇された実習生のうち14人が加入した札幌地域労組は「当日の解雇を予告とは言わない」と批判する。また、経営悪化を理由とする整理解雇が認められる要件を満たしていないとし、受け入れ企業に課せられる期間満了までの実習実施義務にも反していると主張。さらに、提示された解雇予告手当が本来支払われるべき額より最大約5万円少ない実習生がいると指摘した。
労組は2社側に、期間が満了する12月末までの賃金補償を求めている。2社の代理人弁護士は取材に対し「答えられない」とした。
労組の三苫文靖書記長は「母国で多額の借金をして来ている実習生らを物扱いしており、会社の都合で簡単に切り捨てている。許されない」と話した。
<2020年3月30日 18:30共同通信>から引用