シャープの亀山工場(三重県亀山市)で働いていた日系外国人作業員のうち千人 が、今年に入り雇い止めされたことが30日、シャープの3次下請け会社で雇用主の 「トラストライン」(亀山市)への取材で分かった。ごく短期の契約更新が繰り返さ れてきたが、シャープ側の生産縮小の影響で更新されなかったとみられる。不安定な 外国人労働者の実態が浮き彫りになった。 下請け会社に法令違反が相次いでいるとして支援する弁護士らが22日、三重労働 局に告発状を提出した。 労働組合「ユニオンみえ」には雇い止めされた外国人からの相談が相次ぎ、約40 人が加入した。神部紅書記次長は「立場の弱い外国人を使い捨てている」と批判。三 重労働局の担当者は「春ごろから相談が殺到した」と話している。 トラスト社の担当者は「シャープの都合で仕事が減り、10月までにトラスト社だ けで約400人が辞めた。他の3次下請け3社と合わせ、雇い止めは約千人に上る」 と説明している。 担当者によるとトラスト社も含めた4社は、シャープの2次下請け会社の要請を受 け、4~5年前からポルトガル語の求人誌などで作業員を募集。昨年末のピーク時に は日系ブラジル人やペルー人ら約2千人を雇い、亀山工場に送り込んでいた。 シャープの減産に備え短期の雇用契約を結んでおり、5月の大型連休前後が雇い止 めのピークだった。現在、トラスト社が雇用しているのは約100人。他の3社に雇 われている人はいないという。 シャープの広報担当者は「工場の作業員とは直接雇用契約を結んでいない。雇い止 めにコメントする立場にない」としている。亀山工場では液晶ディスプレーを生産し ている。 外国人労働者問題に詳しい四方久寛弁護士によると、外国人作業員の募集や労務管 理は専門の下請け会社が担い、悪質な業者が入り込むこともあるという。「外国人労 働者の受け入れ拡大が議論されているが、まずは雇用環境を整えるべきだ」と訴えて いる。 (2018年11月30日 07:40記事提供:共同通信)