CUNN事務局通信(2025.11.04)
目次
闘い
1.派遣先上司からのセクハラで派遣先会社と団交(女のユニオン・かながわ)
Aさんは、派遣先の上司にセクハラ被害を受けた。セクハラの事実確認を行ったM社は、行為者に何らの処分もせず、注意・指導にとどめた挙句、Aさんには派遣元と結託して何の報告もしなかった。ユニオンは、1再発防止策(①ハラスメント行為者を処分対象とする就業規則改正②ハラスメントアンケートの実施)、2行為者の処分、3行為者の文書謝罪、4会社の謝罪と慰謝料を要求した。2回の団体交渉を経て、1の②と3については要求に応じると回答。再検討要求書に対して、「解決金の支払い」についての協議をしたいと回答。ユニオンは解決金だけにとどまらず、Aさんが行為者からの報復を受けることなく、働き続けるための措置についての協議も行っていく。
情報
1.女性活躍推進『数から質へ』(10/31日経から)
1985年の男女雇用機会均等法の成立から40年。働く女性の割合は全労働人口の45%を占めるようになった。総務省の労働力調査によると、15~64歳の生産年齢人口で女性の就業率は1985年の53.0%から2024年は74.1%となった(男性は84.5%)。その割合は米国やフランスを上回る。ところが管理職の男女比率と賃金格差が大きい。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、男性の賃金を100とした女性の賃金は24年は75.8だった。OECD加盟の34カ国では韓国、エストニアに次いで3番目に大きい。その理由は非正規雇用の女性が53%にのぼることで、男性の2倍以上の水準。正規雇用の割合は20代後半で、その後は右肩下がりになる「L字カーブ」を描く。実はフルタイムの賃金格差も大きい。大和総研の鈴木準常務執行役員の試算では常勤従業員の生涯賃金は男性が2億6060万円に対して、女性は1億8893万円とおよそ7200万円の差がある。鈴木氏はIT(情報技術)企業など年収が比較的高いデジタル分野で働く女性が少ないことも収入差の背景にあると分析。結婚・子育てとキャリアを両立できる環境作りのポイントは復職支援にある。オランダのフレキシブルワーク法では勤務日数や時間、働く場所、雇用形態を労働者が選ぶことができる。注意しなければならないのは、こうした復職支援制度の多くは、女性だけを対象とした仕組みにはなっていないこと。男性のキャリア形成にも共通する問題だ。外国人労働者の受け入れを巡る議論に焦点が当たるが、男女の協働と格差是正も避けては通れない課題である。全ての人が活躍できる社会の実現に向けて。
(文責 川本浩之)