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事務局(よこはまシティユニオン)
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神奈川県横浜市鶴見区豊岡町20−9
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CUNN事務局通信(2025.12.08)

目次

闘い

1.「開店前業務に時給がつくようになった」(プレカリアートユニオン)

石橋組合員が働くイオンの店舗は午前9時に開店する。パート職員は開店前にさまざまな準備作業を行っている。それは明らかに業務であるにもかかわらず、「勤務扱い」されず、賃金が支払われてこなかった。ユニオンは、2025年春闘で問題提起したところ、イオン側は開店15分前からの準備作業を勤務と認めて賃金を支払うことになった。
同僚もとても喜んで声をかけてくれて、石橋組合員は、以前所属していたイオンワーカーズユニオンをひとりで脱退し、プレカリアートユニオンに加入して活動してきたことが、確かに仲間の役に立っているのだと感じ、胸がいっぱいになったという。
数分の着替え時間でも賃金を払うのが当たり前なのに、ユニオンが要求するまで、15分もかかる準備作業に賃金を支払っていなかったとは驚きだ。やはり要求して初めてユニオン(労働組合)だ。

2.「米スターバックスが和解金60億円支払いへ」

米コーヒーチェーン大手スターバックスが、ニューヨーク市との和解に基づき従業員への補償金と民事制裁金として3890万ドル(約60億円)を支払うことで合意した。被害を受けた1万5000人以上の労働者が、2021年7月4日から2024年7月7日までの間に働いた週ごとに50ドル(約7000円)を受け取る。同市の消費者・労働者保護局(DCWP)は、「フェア・ワークウィーク法」に基づくスターバックスによる違反が2021年以降300店舗で50万件あったと判断。元々決まっていたシフトを短くしたり、シフトを埋める際に新規雇用の労働者に提供するなどして、労働者が育児や副業などの予定を立てづらくしていた。スターバックスは「当社とDCWPは前へ進むため和解に合意した」としたうえで、「この補償はコンプライアンス(法令順守)に関するものであり、未払い賃金ではない」としている。
日本でも、労働基準法や労働安全衛生法、労働組合法などの労働法違反への罰則等を重くするのが難しければ、それで被害を受けた労働者に対して、使用者にきちんとお金を支払わせる制度が必要だと思う。懲罰的慰謝料が認められず、損害の填補しかしない民事損害賠償請求では全く不十分だ。

情報

1. 「『生計費』地域間で差はなく、最低賃金は全国一律にするべきだ」(11/30毎日、静岡県立大短期大学部准教授 中沢秀一)

衣食住の費用を積み上げ、飲み会や冠婚葬祭への参加など生活実態も考慮しながら、「普通の暮らし」にかかる金額を「最低生計費」として算出してみた。それを時給(月173.8時間労働で計算)に換算すると、1600円に迫っている。25歳の男性の単身者が賃貸のワンルームに居住しているという設定で、さいたま市で月27万4690円、時給に換算すると1580円で、秋田市は月27万5005円で1582円となった。今年度の全国平均の最賃額1121円を大きく上回る。またよく言われる都市部と地方の生計費はほぼ変わらないことがわかる。例えば、たしかに都市部は家賃が高いものの交通機関が発達しているので車を持つ必要がないが、地方では車が不可欠でその維持費もかかる
同じだけ生活費がかかるのであれば、求人も多くて、賃金の高い都市部に若者が行こうとするのはある意味で当然と言える。大都市圏に隣接する「地方」の医療・福祉関係者も、数年間で立派に育ってくれたと思っていたら、隣の大きな町の同業他法人に転職してしまうと嘆いていた。最低賃金一律化は喫緊の課題である。

2.「裁量労働制、満足度に格差」(12/3日経、黒田祥子早稲田大教授)

労働時間規制の緩和の議論で、裁量労働制の対象業務を広げるかどうかが争点になっている。厚生労働省が専門科検討会を発足させて、裁量労働制の適用者と非適用者を合枠組み合わせた約9万人の実態調査を行った。その結果、裁量労働制で働く労働者(適用者)の平均週労働時間は非適用者と比べて、平均で1.3時間程度長かった。年収は適用者が非適用者よりも7.8%高かったが、労働時間の長さを考えると、両者の時給の差は1%程度しかない。睡眠時間はほとんど変わらない。ところで仕事の満足度でいうと、適用者が非適用者よりも「満足」と回答した人は3.1ポイント高かったが、一方で「不満」と回答する人も0.6ポイント高かった。

なぜそうなるかを分析するために、「どの程度自分で仕事を決めているか」=裁量度を比較してみた。すると裁量度が高い場合は、適用者の方が睡眠時間も長く仕事の満足度が高く、疲労も感じていないとする割合が大きかった。一方で、裁量度が低い適用者は、長時間労働にならざるを得ず、プレッシャーも大きくて仕事の満足度も低い。つまり裁量労働制が適用されている対象業務であるか否かの問題ではなくて、業務の期限や仕事量・時間配分などをどれだけ自分で決められるのかが問題になる。どうしても労働時間に議論が集中しているが、むしろ業務の目標、期限、量などを労働者が自律的に決定できる柔軟性や、失敗が許される心理的安全性の担保の方が重要だ。労使でよりシンプルで実効性のある枠組みを探る建設的な議論を期待したい。
(文責 川本浩之)
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