MENU
事務局(よこはまシティユニオン)
〒230-0062
神奈川県横浜市鶴見区豊岡町20−9
TEL:045-575-1948

『傷の声』(2025.11.04)

川本

『傷の声』(齋藤塔子 医学書院)読了。薬物依存の臨床・研究で有名な松本俊彦氏が解説で「間違いなく本書は自傷に関する教科書の最高峰」と絶賛しています。「自傷がありふれた現象である」精神医療関係者へのメッセージでしょう。
 私がメンタルヘルス相談を受けていると、家庭環境におけるトラウマなどが病気の発症や増悪、治らない原因であることも多く、それに対しては何も出来ない事がほとんどです。ただ、それを理解しなければ、労働問題の解決はおろか、その人の認識や気持ちすら理解できないことがあります。労使交渉よりも、むしろそういうことまで話してくれるような信頼関係を作ることこそが、問題解決につながったことも少なくありません。ただ正直言うと私自身は、そういう話を聞くことがとても苦手で、いつも仲間に助けてもらっています。
 彼女は読者に「あなたの目の前にいる」、病院での身体拘束や家庭内DVを受けている多くの人たちの「SOSに敏感になってほしい」と、実名で自分のことを書き綴りました。そして、「複雑性PTSD」患者でもある看護師として、被害者に「一秒でも早く手当を」と出版を楽しみにしていたそうです。原稿を書き終えた翌月に自死されました。文字通り命賭けで書かれた本書を、私も、ぜひ多くの人たちに読んでほしいです。

  • URLをコピーしました!
目次