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事務局(よこはまシティユニオン)
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2025.1.27

目次

闘い

世田谷区史編さんに係る争議解決についての声明(出版ネッツ)

 CUNNには参加されていませんが、フリーランス問題などの具体的な取り組みで連携をしている『ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)』の、東京・世田谷区史編さん委員の委嘱打ち切りをめぐる不当労働行為を含む争議が、先日和解、解決しました。以下声明に経過や意義なども簡潔にまとめられています。本日、記者会見をするということで、全国ネットの皆さんにもよろしくとのことです。*記者会見は終了しています
著作者人格権の尊重を確約

世田谷区史編さんにおける「著作者人格権の不行使」問題・
編さん委員委嘱打ち切りをめぐる争議解決にあたっての声明

 2024 年 12 月 23 日、世田谷区(以下「区区) と谷口雄太さん以青山学院大学准教授 及び出版ネッツ(以下「組合」) は、標記の争議について和解解決の合意に達し、2025 年 1 月 7 日、「確認書」を取り交わしました。
 同日、区は公式サイトの「区史編さん」のページに、著作権に係る契約の参考モデルとして「区史編さん委員
の著作者人格権と学術目的の利用に関する認書 」) を 掲載https://www.city.setagaya.lg.jp/02005/5132.html#p1
 組合は、東京都労働委員会(以下「都労委」) に対して不当労働行為救済の申し立てを取り下げ、争議は解決に至りました。
 合意の骨子は、①区史編さん事業等における著作者人格権尊重、区公式サイトへの前記掲載、②区による遺憾表明、③区は、谷口さんに 2024 年 12 月 23 日付で、中世史編さん委員の委嘱を申し出て、谷口さんはこれを受諾し、同日付で辞退、④都労委取り下げ、⑤誠実対応――の5点です。


■委員委嘱打ち切りとその後の経過

 世田谷区では区政 90 周年を記念し、自治体史を編纂中です。日本中世史の研究者で、中世世田谷・吉良氏研究の第一人者である谷口さんは 2016 年、保坂区長から区史編さん委員を委嘱され、2017 年から調査・研究を始めました。
 ところが執筆開始間際の 2023 年 2 月 10 日、区は区著作権譲渡および著作者人格権不行使への承諾)を迫りました。著作者人格権には無断で改変されない権利以同一性保持権 を含みます。無断改変できるようになることを危惧した谷口さんと出版ネッツは話し合いを求め、区は一度だけ応じたものの話し合いを打ち切り、3月末、谷口さんは委嘱を切られました。
 そこで出版ネッツは同月、区世田谷区史編さんにおける『著作者人格権の不行使』問題についての声明)を発出。多くの歴史学会、歴史や著作権法の研究者、マスコミ関係者、フリーランスのクリエーターなどからの賛同署名が寄せられました。さらに、文化庁に区自治体史編さんに係る著作権取扱いについての要望)を送り、4 月、都労委に救済を申し立てました。2024 年 1 月には(区世田谷区史のあり方について考える区民の会)が発足。区史編さんに係る契約の見直し等を要望し、区長との話し合いを求めてきました。組合は区民の会と連携し、区議会でも、会派を超えて質疑が重ねられました。


■解決の背景とご支援への感謝、全国自治体等への要望
 TV ドラマ「セクシー田中さん」原作者の漫画家が自死され、原作のドラマ化にあたって著作者人格権の扱いが背景にあったのではないかといわれた事件や、著作権の扱いも含めフリーランスの権利がフリーランス法で法律になったこと、関東大震災への政府見解や群馬の森追悼碑撤去をめぐり歴史修正への危惧が広がったことも、解決の社会的背景となりました。
 今回の合意では(区著作者人格権の尊重)が明記された点(①) に最大の意義があります。区が谷口さんに編さん委員の委嘱を申し出たこと(③) は遺憾表明(②) と共に、原状回復と谷口さんの名誉回復の意味を持ちます。解決にご尽力いただいた多くの方々に心より感謝します。
 著作者人格権は、著作者、とりわけ歴史研究者にとって尊厳や研究者生命にかかわる権利です。この解決を機に私たちは、全国の自治体に対し、自治体史誌等の編さんに際して著作者人格権と学問の自由を尊重することを求めます。さらに、行政機関と民間企業とを問わず、フリーランス等に仕事を依頼する際には、著作権法やフリーランス法に則った契約を結ぶことを求めたいと思います。

2025 年 1 月 14 日
ユニオン出版ネットワーク以出版ネッツ

情報

「適正な価格転嫁賃上げ実現目標 神奈川政労使会議」(各紙)

 1月20日、神奈川県内の行政や労働界、経済界のトップが集う「神奈川政労使会議」が県庁で初めて開かれた。春闘を前に適正な価格転嫁による企業収益拡大とそれを原資とした賃上げで、経済の好循環の実現を目指すとの共同メッセージを採択。連合神奈川の林克己会長が「企業規模や雇用形態、性別間の賃金格差是正が必要」と指摘。県経営者協会の野並直文会長は「物価を上回る賃金上昇に取り組むための最大の課題は適正な価格転嫁。国や県は仕組み作りに手を講じてもらいたい」とした。黒岩祐治知事は「持続的な賃上げの実現に向け、みなさんと一緒に取り組んでいきたい」と述べた。

(文責 川本浩之)

「賃上げ定着『責務』 経団連が経労委報告」(1/22各紙)

 経団連は1月21日、2025年の春季労使交渉(春闘)で経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を発表。賃上げを定着させる春闘と位置付け、構造的な賃金引き上げ実現への貢献が「経団連と企業の社会的責務」と明記した。中小企業の賃上げには賃上げした分のコストの価格転嫁が必要であり、「消費者が理解して受け入れることが不可欠」と指摘するとともに、発注先企業が「経営層から取引担当者に至るまで適正価格で発注するという趣旨を社内に周知する」ことを求めている。

 *神奈川に限らず、石破首相の指示で各地で政労使会議が行われています。なぜ物価が上がっているのに、法人税が高くなっているわけでもないのに、賃金が上がらないのでしょう?大企業が利益を自社内で貯めこんでいるからです。算数の理解できる子どもでもわかることです。また、必要な物の値段が上がった分だけ賃金が上っても、何の意味もありません。今の不平等で非民主的な社会が「維持」されるだけです。少しでも安い物を求める消費者が悪いのでもなければ、「生産性」が低いなどと決めつけられた労働者のせいでもありません。そして賃金は、政労使団体(役員)が口で言うだけでは上がりません、今こそ職場で「闘いを定着」させましょう。

(文責 川本浩之)
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