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「女性活躍法成立10年 男女の賃金差開示拡大へ 伸びぬ管理職比率」(1/7日経から)
企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が成立してから2025年で10年になるが、男女間の賃金差は縮まらず、その主因は女性の管理職が少ないことにあると政府はみている。政府の改正案は、男女の賃金差を公表する義務の対象を従業員数101人以上に拡大、管理職に占める女性比率の公開も義務付ける。
フルタイムで働く女性の賃金は、男性を100とすると15年は74.3だったが22年は78.7にとどまる。女性の管理職比率も14年には11.3%で、23年は14.6%にとどまる。内閣府によると直近のデータでは米国、フランスでは約4割、ドイツでも約3割を女性が占める。
女性管理職が少ない理由が長時間労働と家事・育児の負担の偏り。フルタイム労働者の年間実労働時間は22年に1948時間で、12年と比べて4%ほどしか減っていない。家事や育児の負担も女性に偏っており、21年の総務省社会生活基本調査によると、6歳未満の子どもがいる共働き世帯で、家事・育児に費やす時間は妻が1日あたり約6時間に対して、夫は1時間半程度。
いつも思うのだが、男女の賃金差や管理職比率を開示することが本当に改善につながるのだろうか?使用者はそれで「恥ずかしいから変えよう」としたり、それで会社を「選べる」労働者がどれぐらいいるのだろうか?あわせて、男性の性的役割分業や女性の昇進意欲といった「意識」を変えることがよく言われる。本当に労働者の意識が問題なのか?!それはそれでもちろん大切だが、何よりも長時間労働の改善、休日の確保こそが最も重要である。
「懲戒の社内公表、悩む企業 名誉棄損リスクで『非開示』の流れ 再発防止と両立課題」(1/13日経から)
不正やハラスメントを理由とする懲戒処分について、社内でどの程度周知するかを悩む企業が増えている。氏名を明らかにすると名誉棄損の恐れがあるとして見直しを検討する動きの一方で、再発防止のために事例の周知が必要という考え方も根強い。懲戒処分を巡る氏名の社内公表の是非についての裁判例は事例ごとに判断が分かれ、明確な線引きが定着していない。帝人は懲戒処分について半年に1度、従業員の名前を伏せて「行った行為と処分」をまとめて国内グループ社員がみられるイントラネットで2017年度から公表するようになった。「何もわからなければ再発防止にはならない。どんな行為が懲戒処分の対象になるのか周知する必要がある」とのことだ。社内公表以外にも氏名や具体的な状況を伏せた上で「再発防止に必要なことを社内研修や業務マニュアルに落とし込むなどの手法もある」(労務問題を多く手掛ける友野直子弁護士)。
よこはまシティユニオンは現在、日本生命と神奈川県労働委員会で係争中。争点の一つが、営業部長職の「法令違反件数とその概要、本人及び上司らも含む処分内容」を開示しないことが、不誠実団交に当たるか否か。法令違反があっても、労働組合には、数字すら明かさないというのが日本生命の姿勢である。
(文責 川本浩之)