茨城ユニオン/最低賃金1,500円に引き上げよう!

【水戸駅前で署名宣伝】

茨城ユニオンは11月8日、水戸駅南口でユニオンの役員9名で最低賃金引上げの街頭宣伝と署名活動を午前11時から2時間にわたり行いました。

【茨城の最賃は時給796円】

茨城の最賃は今年25円引きあがりましたが、それでも796円、月15万にも満たない金額です。話しかけに大学生、高校生も「そんなに低いのですか、暮らしていけません。署名します」と応じてくれました。
中年の会社員は、最賃を下回っていますどうしたら改善できますか、との相談をされる方もおり、32筆の署名が寄せられました。
役員全員がそれぞれの体験や思いを2時間連続で訴えなど迫力ある活動になりました。

【教育にない労働基本権】

また、高校や大学で労働組合や働く者の基本的な権利などが全く教科の中に入ってないことが分かりました。
労働組合の団結権、団交権、争議権の労働三権や、最低賃金などの働く者が最低限知らなくてはならないことが放置されていることは大きな問題です。
雇い主の無法な労務管理が、残業代不払い、セクハラ、過労死を生んでいるのです。
ユニオンは、時給1,500円は生活する最低のラインであることを訴え、引き続き活動を展開します。

メトロコマース支部非正規差別なくせ裁判第2回控訴審報告/東京東部労組

【東京東部労組メトロコマース支部 非正規差別なくせ裁判第2回控訴審報告】

東京メトロ駅売店の非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部
が正社員との賃金差別をなくすために起こした裁判で控訴審の第2回口頭弁論が10月
16日、東京高裁で開かれ、約100人の支援者が駆けつけてくれました。
心より御礼申し上げます。

冷たい雨が降りしきる中、支部組合員と支援者らは午前8時30分から裁判所正門前で
アピール行動を開始。ビラをまきながら、「非正規労働者にも人間らしい生活ができ
る賃金を」などとマイクで訴えました。多くの友好労組・支援者から連帯の発言を受
けました。

同10時30分からの口頭弁論では、支援者で傍聴席が今回もあふれ、非正規差別をなく
す熱意に法廷が包まれました。

裁判後、組合は再び裁判所正門前で報告集会を持ちました。弁護団から今後の裁判闘
争のポイントを解説してもらった後、原告組合員4人からそれぞれ闘う決意を表明し
ました。9月に非正規労働者への格差是正を判決で獲得した郵政ユニオンの浅川さん
から連帯の発言を受けました。最後に全員で裁判所に向けたシュプレヒコールと団結
ガンバローで締めくくりました。

原告組合員のうち疋田組合員は現在3つの仕事を掛け持ちしてクタクタになりながら
闘っています。これも低賃金で貯金も年金も少なく、メトロコマースを定年になって
も退職金がまったく出ないからです。こうした非正規労働者の怒りと苦しみの声を裁
判所はきちんと聞くべきです。

次回の裁判は公開の法廷ではなく、原告・被告双方が出席して訴訟の進行に関して協
議する「進行協議期日」(11月28日)となります。今後、公開の法廷で口頭弁論が行
われる際には、みなさんの支援参加をあらためて呼び掛けますので、よろしくお願い
いたします。

嘱託職員にも退職金を! 京都地裁判決報告

昨日、京都市の100パーセント出資の財団法人を被告とする裁判で判決を得まし
たのでご報告します。被告は京都市立浴場財団です。経営上の理由から解散したので
すが、職員に対する退職金が全額支払われていないため、その支払いを求めて裁判と
なりました。

 財団は、正職員については退職金規定どおりの退職金額があることは認めました
が、資金が不足しているとして一部の支払をしただけです。判決は残額の支払いを命
じました。

 問題は、嘱託職員です。正職員と同じ仕事をし同じ責任も課されていたのに、嘱託
職員には退職金規程がなく、財団はまったく支払をしていません。

 判決は、嘱託職員の皆さんは、旧パート法8条1項の「その全期間において、正規
職員と職務の内容及び配置の変更の範囲が同一の範囲で変更されると見込まれるも
の」に該当するとして、嘱託職員に退職金を支給しないことは違法であるとし、財団
に対し、正職員と同じ比率の退職金額を支払うように命じました。

 京都市浴場財団は京都市が100パーセント出資して創設した財団です。京都市
は、判決内容がきちんと履行されるようにする義務があるのではないでしょうか

◎2017.10.18  京都市立浴場運営財団事件判決 報告

京都市立浴場運営財団事件京都地裁判決(H29.9.20)報告

■ 事案の概要

 被告財団は、被告京都市が100パーセント出資して設立し、被告京都市からの出
向職員らが事務の中心を担当する財団であり、京都市内の市立浴場を運営する。経営
不振により解散となりましたが、正職員には退職金規程に基づく金額の35%のみ支
給し、残額の支給はできていません。嘱託職員には退職金規程がなく退職金の支払い
はありませんでした。

 正職員原告らは、被告財団に対して退職金残額の支払いを求めるとともに、被告京
都市に対して被告財団と連帯して退職金を支払う義務があるとして同額の支払いを求
めました。原告嘱託職員らは、正職員と同様の業務に従事し責任も同じであるにもか
かわらず、退職金が支払われないのは不当だとして正職員と同率の退職金の支払いを
被告財団に請求するとともに、被告京都市にも請求しました。

 判決は、被告京都市に対する請求を棄却し、被告財団に対する原告らの請求をいず
れも認容しました。ただし、嘱託職員原告らに対する認容請求権は、退職金請求権で
はなく、退職金相当額の不法行為に基づく損害賠償請求権です。

■ 嘱託職員に対する判決の意味

 1年有期契約を多数回(5回ないし13回)更新され、正規職員に比べ週の勤務日
数が1日少なく(4日)1日の労働時間が30分短い(7時間15分)嘱託職員ら
が、旧パート法8条1項所定の「その全期間に置いて、正規職員と職務の内容及び配
置の変更の範囲が同一の範囲で変更されると見込まれるもの」に該当するとして、正
規職員らに関する退職金規程にもとづいて算出された退職金相当額を原告らの損害と
して不法行為の成立を認めました。今後立替払い請求や破産手続において、少しでも
回収ができるように努力したいと考えています。

 本判決は、退職金規程がなくてもパート労働者が正職員と同じ退職金請求権のある
ことを認めた画期的なものです。このようなパート法8条(現行9条)違反の判決は
全国で2例目です。大変貴重なものです。

■ 本判決の影響

 京都市に対する請求が認められなかったことは大変残念です。しかし、嘱託職員に
ついて、財団に対する退職金相当額の請求が認められたことは画期的なものです。

 本事件は、旧パート法8条の事案であり、現行パート法では9条に関する事案で
す。国会提案予定の働き方改革促進一括法案要綱よれば、現行パート法は対象を有期
にも拡大することになり、パート法9条の均等待遇規定は有期にも適用となります。

 これまでの判例は、労契法20条の解釈において、契約期間の長短によって基本給
などに差があることは不合理ではないとしています。退職金についても同様と考えら
れています。9条の要件に該当すれば、契約期間の長短を考慮要素にすることはでき
ないのであり、今回の判決はそれを明確にしました。どうして労契法20条やパート
法8条ならば契約期間の長短が考慮要素となり得るのか説明がつかないのではないで
しょうか。裁判所の解釈は矛盾していることが明らかになったものです。労契法20
条裁判の解釈にも大きく影響する判決だと考えます。