明智ゴルフ倶楽部労組の闘い/17.11月二日間のストライキ/岐阜一般 労組

明智ゴルフ倶楽部労働組合は2015年10月に結成されました。従業員には経営側に対
して、一人では発言あるいは提案の場所・機会がないことから、意見・提案を有効、
かつ具体的に経営に反映させ、安心して働き続けることのできる職場をつくる手段と
して、労働組合が必要であると判断し結成に至りました。
結成当時、急な社長交代を経て新体制になり1年が経過していましたが、従業員の
待遇や職場環境に改善がなされている実感はありませんでした。ベースアップも行わ
れず、人員削減による業務量の増加、頻繁に行われる人事異動による不安定業務、不
明確な継続雇用制度、55歳時点での身分変更に伴う給与の減額、残業申告すると叱
責される理不尽さに加え、経営方針や指示命令系統が全く明確に示されず経費削減の
みを強要される反面、経営側の不可解な経費使用が明確になるなどにより、私たちの
労働意欲は著しく損なわれていました。
 
私たち労働組合は、経営側と無益な対立を繰り広げるつもりは到底なく、職場環境
や待遇の改善を随時経営側に申し入れ、顧客へのサービス向上と企業倫理の確立、労
使一丸となって会社が最適・最善の道を選択し発展できるよう協力することを目指し
てきました。

しかし、2年間にわたる団体交渉のすべてにおいて社長は一度も出席せず、主に弁
護士と社労士の2名が代理権があるとして、労組の要求や提案を一切聞き入れないゼ
ロ回答を繰り返してきました。

このような状況下で、2017年8月~9月に明智ゴルフ場の男性正社員の料理長、料理
主任と料理人の3名(内2名が組合員)が集団で退職しました。最大の理由は長年継続勤
務し、責任ある職務に就いているにもかかわらず、それに見合った昇給がないことへ
の不満と、取締役に対する様々な不信感です。労組は再三ベースアップや待遇の改善
を要求し、最終的には35歳以下の若年層の給与待遇だけでも向上させるようにと要
求してきましたが、全く聞き入れられなかったことが貴重な人材の流失という形で表
れてしまいました。このような事態は今までも何度も繰り返されてきましたが、何の
対処もされてこなかったのです。この集団退職直後、4名のレストラン従業員(組合
員)が、取締役2名に対し責任を追及し、今後も退職者が増えることが予想されるとし
て、給与改善を訴えました。しかし、会社はこの行為を規律違反として処分しまし
た。
 
そのため労組は以下の要求を掲げて、団体交渉を行いましたが、決裂したためスト
決行となりました
 ①給与改善。②レストラン社員4名の処分撤回。③担当取締役の謝罪。
スト自体は、2017年11月11日(土)・12日(日)2日間にわたり、賑済寺ゴルフ場及び
かしおゴルフ場にて9時~14時までの時限ストライキとなりました。

組合員は9時から14時まで、フロント業務、ポーター業務、コース管理業務、レス
トラン業務から離れ、2ヵ所のレストランに結集し、プラカードを掲げ職場集会を開
きました。この決行に当たり労組は長期間、熟慮に熟慮を重ねました。法的には告知
の義務はありませんが、最優先させるべきは「お客様」であることは揺ぎ無いもので
あったため、スト日時の告知に踏み切りました。またお客様にはストライキの経緯に
ついての説明を書面にして配布しました。これに対し会社は非組合員社員を集め、弁
当を用意する等でお客様に対応していました。集会中にやっと社長が姿を現したため
組合員全員で話し合いを求めましたが、「時間をくれ」との回答しかなく、未だに回
答はありません。

決行中、お客様から激励のお言葉をたくさん頂戴でき、最大の励みになりました
が、多くの組合員から「お客様に弁当を食べさせることが心苦しい。」「弁当を用意
する前に、話し合いが先でしょう。」との意見も出ました。
 
その後、会社側はストを警戒する姿勢を見せているものの何の回答もないため、12
月4日に岐阜県労働委員会に不当労働行為救済申立を行ったところです。
 また株主総会においてストに至る経緯と労組の思いを文章にして株主に配布しまし
た。総会では批判と応援の意見が出ましたが、大きな混乱はなく終了しています。労
働委員会については、調査期日も決まっていませんが、正常な労使関係の構築がなさ
れることを期待しています。〈岐阜一般労組 明智ゴルフ労働組合 執行委員長木村智〉
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■ お客様へ
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■ 朝日新聞記事
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ワタミ過労死遺族が自民党と渡辺美樹参院議員に抗議文/東京東部労組

自民党の渡辺美樹参院議員が「働くことは悪いことか。週休7日が幸せなのか」と
いう発言を国会で行ったことについて、渡辺議員が経営していた居酒屋チェーンのワ
タミで過労死した社員の遺族が3月29日、自民党と渡辺議員への抗議文を送りまし
た。

 渡辺議員は3月13日にあった「働き方改革」をめぐる公聴会で、公述人の東京過労
死家族の会の中原のり子さんらに対し、自民党を代表して質問に立ち、その場で「国
会の議論を聞いていますと働くことが悪いかのような議論に聞こえてきます。お話を
聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」などと発言
しました。

 渡辺議員は自らが経営しているワタミで2008年に社員だった森美菜さんを過労死に
追い込んでいます。森さんのご両親が遺族として全国一般東京東部労組に加入し、
様々な闘いを通してワタミと渡辺氏の責任を追及した結果、2015年12月に裁判上の
「和解」を行いました。

 「和解」の協定書には次のように記載されています。「被告渡邉美樹は、被告会社
らの創業者で長らく代表取締役を務め、同人が形成した理念に基づき被告会社らを経
営し、従業員に過重な業務を強いたことなどから、会社法429条1項に基づく注意義務
及び条理に基づく注意義務を懈怠し、森美菜の本件死亡について、会社法同条及び不
法行為により、最も重大な損害賠償責任を負うことを認める。」

 また、謝罪の条項の中には、「被告渡邉美樹は、森美菜が死亡した後に、ツイッ
ターにおける発言などが不適切な内容を含むものであり、不相当な対応をしたことに
より、原告らに一層の精神的苦痛を負わせたことを、衷心より謝罪する。」との記載
も盛り込まれました。

 「365日24時間死ぬまで働け」などという理念を掲げてきた経営者の渡辺氏自身の
法的責任を明確にし、断罪する内容が「和解」の根幹でした。

 しかし、今回の渡辺議員の国会での発言は、これら遺族との「和解」の精神を踏み
にじるもので、その無神経な暴論は到底許されるものではありません。また、ワタミ
過労死問題を百も承知のうえで渡辺議員をあえて代表として質問に立たせた自民党の
責任も重大です。恥を知るべきです。

 遺族とともに私たち東部労組も渡辺議員と自民党に強く抗議するとともに、渡辺議
員が先頭で推奨している労働時間規制をなくす高度プロフェッショナル制度(残業代
ゼロ制度)の導入に反対します。〈全国一般東京東部労組書記長 須田〉

田井自動車の闘いが高校教科書に/札幌地域労組

約6年前に闘った札幌地域労組田井自動車支部のストライキの様子が、高校の現代社会の教科書(第一学習者)に載りました。
「スト決行中」の看板や横断幕の位置は、写真や映像をかなり意識して配置したのですが、その効果がありました。若者がストに立ち上がった様子を地元のHTBテレビのニュース番組「いちおし」が映像化した7分間の特集番組は、その後、あちこちの学習会で大活躍しました。

このストライキのあと、田井自動車の経営者はスト参加者だけボーナスをゼロにするという弾圧をかけてきました。私は勝利を確信しました。とはいえ、当事者の組合員にしてみたら大変な不安だったと思います(この弾圧で24名中、5名が脱退)。

その後出された、労働委員会での勝利命令と実効確保措置勧告は、並行していた3つの裁判闘争をさらに有利に進め、その結果、会社側はついに白旗を上げ、T代理人は解任されました。

現在、社長一族は経営から退き、田井自動車は消防車製造大手のモリタ傘下で事業を継続しています。組合結成以前は「固定残業制」でごまかされていた残業代ですが、今では残業した分だけちゃんと支給される職場になりました。
門前で立ち止まっていた日本国憲法や労働基準法を、まさに工場の中に持ち込んだ闘いでした。

この闘いに駆けつけて下さった地域の労働組合や、いっぱい記事を書いてくださった記者の皆さんに改めて感謝!〈札幌地域労組副執行委員長 鈴木一〉